ロコモティブシンドロームとは?予防体操やセルフチェック!

このページでは

 

  • ロコモティブシンドロームとは!?
  • 原因や定義とされる疾病について!
  • セルフチェックしよう!
  • 予防対策の体操!

 

について、どこよりもわかりやすく説明しています。

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ロコモティブシンドロームとは何だろう!?

近年話題を集めている「ロコモティブシンドローム」とは “運動器症候群” のことです。

 

ロコモティブ(Locomotive)とは「運動の」という意味です。

 

そしてシンドロームは「症候群(様々な症状)」という意味なので、合わせて「運動器症候群」という意味で用いられています。

 

場合によっては中途半端に組み合わされた「ロコモティブ症候群」という言い方もされます。

 

2007年に日本整形外科学会が提唱した新しい病名ですが、具体的には

 

関節や骨、筋肉、神経などの障害によって、将来的に介護や寝たきりの状態となる可能性のある病気の総称

 

です。

 

なのでこの「運動器」とは

 

  • 関節
  • 脊椎
  • 靭帯
  • 筋肉
  • 末梢神経

 

など、「動きや体幹を支える役割を果たす器官」の総称になります。

 

では、具体的にどのような疾患が「ロコモティブシンドローム」と呼ばれるのでしょうか。

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ロコモティブシンドロームと定義されている病気は?

現在「ロコモティブシンドローム」の原因となる疾患としては、大きく2つに分けられます。

 

  • 運動器自体の障害
  • 加齢による運動機能不全

 

ただし、「運動器自体の障害」には「加齢によって発症する病気」が多いので注意してください。

 

※加齢による運動機能不全とは区別されています。

 

では、それぞれの原因にはどのような疾患が含まれているのかを見ていきましょう。

 

 

運動器自体の障害(筋骨格運動系)

こちらは、今から挙げていく疾患(病気や怪我)によって、

 

  • 痛み
  • 関節の可動領域の制限
  • 筋力の低下
  • 骨折
  • 麻痺
  • 痙性(けいせい)

 

などが起こり、そこからさらに

 

  • バランス能力の低下
  • 移動能力の低下
  • 体力の低下

 

などを起こしている状態を言います。

 

ではその原因となる疾患(病気や怪我)を挙げていきましょう。

 

 

変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)

主に加齢が原因で、膝や股関節が変形する病気です。

 

膝の場合はO脚、股関節の場合は大腿骨頭(股関節の脚側にあるボール状の関節組織)の壊死が起こります。

 

O脚では歩行困難となり、将来的には歩行器などが必要となりますし、股関節の変形は手術によって人工骨頭に置換する必要性が生じます。

 

 

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

主に高齢者に多く、カルシウム不足から骨がスカスカになってしまう病気です。

 

骨粗鬆症によって骨がもろくなり、次第に前に重心が移っていって猫背になることを「骨粗鬆症による円背(えんばい)」と言います。

 

カルシウム製剤とビタミン剤の投与、食餌療法、運動療法、理学療法などが治療で行われます。

 

 

易骨折症(えきこっせつしょう)

骨粗鬆症が進行すると、ちょっとした刺激で骨折しやすくなります。

 

この状態を易骨折症と言います。

 

現代では「いつのまにか骨折」とも呼ばれています。

 

手術可能な時は「骨折整復術」が行われますが、不可能な場合は安静が必要で寝たきりとなります。

 

 

変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)

こちらも加齢や外傷または不自然が姿勢の癖がつくことで、脊椎(頸椎から腰椎にかけて)が変形してしまう病気です。

 

主な症状としては

 

  • 腰痛
  • 脚のしびれや痛み
  • 起立困難
  • 横臥困難

 

などがあります。

 

理学療法と薬物治療による「保存的治療法」で痛みをコントロールしながら筋力をつける治療法が一般的ですが、程度によっては外科手術が必要な場合もあります。

 

 

脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)

変形性脊椎症の一種で、主に加齢によって脊椎の一部が狭窄(狭くなってしまうこと)し、腰から脚にかけて伸びている神経を圧迫することで起こります。

 

原因としては

 

  • 椎間板の劣化
  • 椎弓の変形

 

によって骨棘が出来て、神経を圧迫することが多いようです。

 

また「間欠跛行(かんけつはこう)」という特徴的な症状があり、これは歩き始めは無症状でも次第に痛みやしびれが増してきて歩けなくなり、休むと症状が軽減するという症状です。

 

さらに前かがみになると楽になるという特徴があるので、発病後は出来るだけ前かがみの生活を送るようにしなければなりません。

 

理学療法と薬物治療による「保存的治療法」で痛みをコントロールしながら筋力をつける治療法が一般的ですが、程度によっては外科手術が必要な場合もあります。

 

 

関節リウマチ

65歳を過ぎると発症する頻度が急激に上がる、原因不明の全身炎症性の疾患です。

 

全身の関節に炎症が起こり、激しい痛みや発熱、関節の硬直や変形などが起こります。

 

現在では投薬による保存的治療(ステロイド内服薬や抗リウマチ薬)が一般的ですが、関節の変形が起こっている場合には関節固定術などの手術が行われることもあります。

 

慢性関節リウマチで運動障害が発生している時は国から指定難病と認定されます。

 

 

 

以上が「運動器自体の障害」と定義される疾患です。

 

この中でも代表的な2大疾病と言われているのが、

 

  • 変形性関節症
  • 骨粗鬆症

 

による円背(えんばい)です。

 

円背とは、下の画像のように脊椎(背中)が大きく湾曲している状態です。

 

画像出典:http://homepage3.nifty.com/MYKAIGO/kiki(59).htm

 

この二つの疾患が2大疾病と言われている理由は患者数の多さです。

 

現在、この二つの疾患の推計患者数は4700万人(2009年調べ)と言われています。

 

国民の1/10が罹患している病気は「国民病」と呼ばれているので、ロコモティブシンドロームはまさに国民病といえる病気なのです。

 

また、ロコモティブシンドロームは「メタボリックシンドローム」や「認知症」と並び、

 

  • 健康寿命の短縮(健康的に日常生活を送ることができるまでのこと)
  • 寝たきり
  • 介護

 

の三大要因の一つに数えられています。

 

運動器官に一箇所でも不具合が生じると、負の連鎖のように次々と他の運動器官にも悪影響が出てしまいます。

 

例えば

 

  • 「骨粗鬆症から易骨折症になる」
  • 「変形性脊椎症から脊柱管狭窄症になる」

 

などです。

 

これらの主な原因は、高齢生活習慣によるものが大きいです。

 

そのため、特に高齢者の方は運動不足や食生活がおろそかにならないよう、健康なうちから早期対策をたてて予防に努めることが重要とされています。

 

では続いて、
「加齢による運動機能不全」について説明します。


 

加齢による運動機能不全

加齢による自然な体力低下からくる運動器障害のことです。

 

こちらの方では

 

  • 持久力の低下
  • 筋力の低下
  • 反応時間の遅延(反射神経が鈍くなること)
  • 運動速度の低下
  • 巧緻性の低下(細かい作業が苦手になること)
  • バランス能力の低下
  • 深部感覚の低下(刺激に対して鈍感になること)
  • 運動機能全体の低下

 

などが起こり、安易に転んだりつまづいたりするようになります。

 

この場合は、対象年齢が65歳以上がロコモティブシンドロームの対象となります。

 

※「運動器自体の障害」は特別年齢の制限を設けているものではありません

 

 

 

ということで、ここまでが

 

「ロコモティブシンドローム」と定義される疾病(病気や怪我)・状態について

 

でした。

 

続いては
「ロコモティブシンドロームをセルフチェックしよう!」についてです。


ロコモティブシンドロームのセルフチェック方法!

ロコモティブシンドロームは高齢者に多い病気ですが、場合によっては若い人でもかかる可能性があります。

 

もちろん子供の場合でも、その可能性はあります。

 

そこでこのパートでは、簡単に7つの項目をセルフチェックするだけで「ロコモティブシンドロームの疑いがあるかどうか」を知るチェックシートを設けてみました。

 

まずは以下に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。

 

  1. 片足立ちで靴下がはけない
  2. 家の中でつまづいたり滑ったりする
  3. 階段を上る時に手すりを使ってしまう
  4. 家事を行う上で重たいものを持つのが困難
  5. 買い物の時2kg(2L入りのペットボトル一本分)以上のものを持って帰ることができない、もしくは困難
  6. 15分以上続けて歩くことができない、もしくは困難
  7. 青信号を渡りきる前に信号が変わってしまう 

 

これらは全て、運動器やADL(※)に関する障害が起こっていないかどうかをチェックする項目です。

 

したがって一つでも該当するものがあれば、ロコモティブシンドロームを発病している可能性があります。

 

可能性がある人はまずは整形外科を受診して現在の状態を把握しておきましょう。

 

※運動器官に障害が出るため、整形外科が主な受診科となります

 

将来的に要介護になる前に、予防対策を立てられるのもこの病気の特徴の一つです。

 

また、たとえ発病していたとしても早期発見・早期治療を適切に行えば、将来介護が必要な状態になることを少しでも遅らせることができます。

 

特に60歳以上の高齢者の方は「年齢だから」と諦めないで、当てはまる項目が少ないならば、これからゼロを目指して予防に努めていただきたいと思います。

 

ADLとは!?
ADLとは、Activities of Daily Livingすなわち「日常生活動作」という意味です。

家事や通勤など「日常的な基本動作」の中で不具合が生じているということは、運動器に障害が発生している可能性が高いことを意味しています。

例えば上記のセルフチェックの中で「15分以上歩くことが困難」と答えた人は、脊柱管狭窄症の代表的な症状である「間欠跛行(かんけつはこう)」を発症している可能性があります。

脊柱管狭窄症は加齢と共に発症率が非常に高くなるロコモティブシンドロームの一種ですので、十分な注意が必要です。

また、ロコモティブシンドロームは腰から下に症状が出るケースが非常に多いので、普段から腰痛の人は、一度整形外科を受診して調べてもらうと良いでしょう。

※日本整形外科学会によると、上記のチェックシートは「20代から70代の人」を対象として作成されているとのことです。

 

では最後に、
「ロコモティブシンドロームへの予防体操」について説明しましょう。


ロコモティブシンドロームの予防体操!

ロコモティブシンドロームは人によって状態が様々です。

 

というのも上記の原因の中で、「運動器自体の障害」と「加齢による運動機能不全」を合併していることは十分に考えられるからです。

 

ただし、どちらも適切な運動習慣を身につけることで予防できることなので、早め早めの対策を講じるようにしましょう。

 

ここで注意しなければならないことは、これまで運動してこなかった人が急に負荷の大きな運動に取り組むのは危険だということです。

 

したがって最初の頃は、以下の二つの運動を毎日行うことで少しずつ体力をつけていくことが推奨されています。

 

 

片足立ち運動

転倒しないように何かにつかまりながら、片足立ちをするトレーニングを左右1分ずつ1日3回行いましょう。

 

このトレーニングによってバランス感覚を養い、転んだりつまづいたりしにくくなります。

 

 

スクワット

つま先を肩幅より少し広めに開き、つま先をおよそ30度外側に向けます。

 

膝がつま先から出ない程度を意識して、深呼吸をするペースで膝の曲げ伸ばしをします。

 

ややお尻を後ろに突き出すようにすると良いでしょう。

 

このトレーニングを1セット5〜6回、1日3セット行うようにします。

 

こうすることで下腹部を鍛え腰椎の変形を予防します。

 

 

これらの二つのトレーニングが苦痛ではなくなったら、

 

  • ウォーキング
  • ラジオ体操
  • ストレッチ
  • ヨガ

 

などの軽めの有酸素運動から初めましょう。

 

そして次第に負荷の強い「筋トレ」に移行していくと基礎代謝が上がり、老化予防にも効果があります。

 

繰り返しになりますが、ロコモティブシンドロームの主な原因は加齢ですので老化予防はしっかりと行いましょう。

 

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本来ロコモティブには機関車という意味もあり、能動的な意味で用いられます。
この病名も「運動器」を人間の根幹として捉え、「高齢」に対して否定的なイメージを持たないようにするために採用されたという背景があります。