遊走腎とは?症状は右腰・右背中・右脇腹の痛みや、血尿など
このページでは、
遊走腎の症状・原因・検査診断・治療
についてわかりやすく!説明しています。
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遊走腎とは?
遊走腎(ゆうそうじん)、ほとんどの人が初めて耳にする病名ではないでしょうか?
これは「腎」という漢字からもわかるように、腎臓の病気の一つです。
※遊走は「移動すること」という意味です
健康な身体であれば、腎臓は常に決まった位置にあり、立っても横になっても位置が大きくずれることはありません。
ところが遊走腎になると、横になっている時と比べ、立っている時に右側の腎臓の位置が10cm以上も下にズレてしまいます。
立ち上がった時に重力によって腎臓が多少下へ落ちますが、この病気は大きく位置がズレてしまうため、「遊走腎」という病名がつけられました。
遊走腎の症状とは?
遊走腎の主な症状としては、
主に右側の
- 腰の痛み
- 脇腹の痛み
- 背中と腰の中間辺りの痛み
などです。
これらの症状が起こるのは、腎臓の位置が不安定となり周囲の神経を圧迫することが原因です。
痛みの種類としては鈍痛と呼ばれるもので、鈍く重い「ズーン」としたような痛みを感じます。
しかし、横になっている時や座っている時は腎臓の位置が元の位置に戻るため、この痛みは軽減されます。
特に横になっている場合は、ほとんど痛みを感じなくなります。
逆に、運動中や長時間の立っている場合は、腎臓の位置がますます不安定になりますので、症状が悪化します。
その場合は、鈍痛以外にも
- 血尿
- 蛋白尿(背中を反る体勢をとった時に多い)
- 頻尿
- 残尿感
- 排尿時の痛み
などの泌尿器系の症状があらわれます。
その他、
- 食欲がなくなる
- 吐き気
- 下痢
- 便秘
- お腹の張り
などの消化器の症状がみられる場合もあります。
では続いて
「遊走腎の原因」について説明しましょう。
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遊走腎の原因とは?
痛みを感じる原因としては、上で説明したとおり「腎臓周りの神経を圧迫すること」ですが、そもそもの「腎臓の位置が下へとズレてしまう要因」としては、以下の二点があげられます。
要因@:先天的(生まれつき)なもの
正常な腎臓の場合、内側から順に
- 腎繊維被膜(じんせんいひまく)
- 腎周囲脂肪膜(じんしゅういしぼうまく)
- 腎筋膜(じんきんまく)
という3つの膜に覆われて保護されています。
一つ目の要因としては、これらの膜が生まれつき弱いことが原因で、腎臓が動きやすく、遊走腎が起こりやすくなると考えられています。
要因A:後天的なもの
要因の2つ目としては、
主に腎臓を下から支える力が低下してしまうことで起こりやすくなります。
この「支える力の低下」とは、
- 腹筋の緩み
- 腹圧の低下
- 腎臓周りの脂肪組織の低下
などを言います。
そしてここに、遊走腎が右側だけに起こりやすい理由があります。
まず、主な内臓である
- 胃(い)
- 肝臓(かんぞう)
- 膵臓(すいぞう)
- 腸(ちょう)
- 腎臓(じんぞう)
- 膀胱(ぼうこう)
などは、腹腔(ふくこう)と呼ばれるみぞおちから股関節にかけての空洞に収まっています。
そして腹腔内の右側には「肝臓」や「上行結腸」など、大きくてボリュームのある臓器があり、右側の腎臓はこれらの圧力を上から受けやすい位置にあります。
逆に左側の腎臓は、他臓器の上からの圧力を受けにくい位置にあります。
そのため、腎臓を下から支える力が弱まると、右側の腎臓だけが下がってしまうという理屈です。
なお、この後天的要因に関しては、体脂肪率の少ない人がかかりやすくなる傾向が強くなります。
では続いて
「遊走腎の検査・診断・治療」についてです。
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遊走腎の検査・診断・治療とは?
これまでの説明どおり、遊走腎は右腎の位置が大きく下に落ちる病気です。
そのため、立っている場合と横になっている場合のCT画像の比較が診断の決め手となります。
(簡単に比較診断が可能です)
また、遊走腎によって腎不全が起きる、などといった重症化のリスクは少ないため、治療は極力「保存的治療」が第一選択肢として選ばれます。
「保存的治療」とは手術などの外科治療を行わない治療法であり、遊走腎では以下のような方法があります。
- 腎周囲の脂肪を増加させる(痩せている人の場合)
- 腎臓の支持、補強を行うために体重を増加させる(痩せている人の場合)
- 腹筋と背筋を鍛えるなど、運動療法を行う
- コルセットや腹帯をつかって腎臓を固定する
一方で、遊走腎に対する手術としては「腎固定術」がありますが、国内での実施例はほとんどありません。
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